2015年08月22日

相続放棄の実務

こんにちは。丸の内事務所の柳下です。

まだまだ事務所に勤めてから5か月あまり。

実務に触れるにつれ、自分の知識と経験不足を痛感させられていますが、お客様から直接お礼を頂ける機会もあり、この仕事のやりがいを感じるとともに責任の重さをひしひしと感じています。

この事務所を選んでよかったと思うポイントとしては、登記申請のみならず、様々な業務に触れることが出来ることだと思います。

先日、ご相談を頂いたお客様は、数年前に親族を亡くして、悲嘆にくれていたところで、ようやくその悲しみを乗り越えて新しい生活を始めようとしていたとき、突然債権者から多額の借金の督促状が届いて、どうしたらいいかわからないと途方に暮れて相談にやってきました。

 民法915条1項では、「相続人は、自己のために相続開始があったことを知った時から3か月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない」と定めています。そのため、相続開始後数年が経過している本件の事情においては、何とかしてあげたいところですが、残念ながら相続放棄は認められないだろうなあと思いました。


しかし、一緒に同席していた先輩は、「相続放棄の申述をしてみましょう!」と力強く言ってのけるではありませんか!


たしかに、最判昭59.4.27では、「相続財産が全く存在しないと信じたことを理由に限定承認又は相続放棄をしなかった場合であって、かつ、諸般の事情から相続財産の有無の調査を期待することが著しく困難な事情が存在し、相続人において相続財産が全く存在しないと信じるについて相当な理由がある場合には、熟慮期間は、相続人が相続財産の全部又は一部の存在を認識した時、又は通常これを認識できたであろう時から起算される」と判示しています。この判例の存在は知っていたのですが、相続財産という言葉の響きから単純にプラスの財産が存在しないと信じた場合で、本件のような負債については適用されないものと思っていました。
 
この時の依頼人も弁護士に相談したところ、今回のようなケースでは相続放棄は認められないと断じられて、藁にもすがる気持ちで私たちの事務所にやってきたのでした。
 
その後、相続放棄の申述は家庭裁判所から受理され、今のところ債権者からの督促は来ていないということです。

このように、司法書士の仕事如何によって、依頼者の利益を保護することも、反対に損ねることもありうるのだと身にしみて思い知らされました。

日々知識と経験を積んで依頼人の利益を最大限に保護できるような司法書士になりたいと思います。
posted by はなちゃん at 17:39| Comment(0) | TrackBack(0) | 相続 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年08月20日

債権譲渡登記

こんにちは。
花沢事務所@丸の内の中野です。

先日、債権譲渡登記を担当させていただく機会がありました。

債権を譲渡したことを第三者に主張するには、何が必要でしょうか?

譲渡人が確定日付のある証書によって債務者へ通知するか、または、債務者の承諾を得なければならないのが原則です。

しかし、「法人」「金銭債権」を譲渡した場合、その内容を登記することで、債務者以外の第三者に自己の権利を主張することができるのです。

これが「債権譲渡登記」と言われる登記です。

なぜわざわざ債権譲渡の登記をする必要があるのでしょう(?_?)

確定日付のある証書を使って通知する方が簡単ですよね。

債権譲渡登記のメリットは、一つには、債務者が多数に及ぶ場合でも、簡易に第三者対抗要件を備えることができることにあります。

債務者がとんでもなく多い場合、全員に通知を送るなんて、とても大変ですからね。



この債権譲渡登記、申請する内容はいたってシンプルなのですが、法務省が公開しているマニュアルが大量でいくつもあります。
(なぜ一つにしてくれなかったのでしょう!?)

しかも、申請内容をデータ入力するために、細かなルールがあるのです。

スペースを入れるな、半角にしろ、債権の種類を別表から選べ、等々・・・

とても慎重にデータを入力しないと、登記却下になってしまうのです。



債権譲渡登記を申請できるのは東京法務局 中野出張所です。

今回はオンラインではなく、出頭して申請を行いました。
(中野、中野へ行く・・・)


驚いたのは、登記の査手続きが40分くらいで完了してしまうこと。

その場で待てば、当日に登記事項要約書は取得することができます。

商業登記や不動産登記は申請から一週間ほどかかりますが、債権譲渡登記はスピーディーなのですね。





*おまけ*

1か月に1つ、何か新しいことをやってみようと思い立ちました。

5月は乗馬です!

20150620060656.jpg

両手で手綱をずっと持っていないといけませんので、上半身がグラグラします。

気を抜くと落馬しそうになるので、背筋がピーンと伸びました。

ところでこのお馬さま、止まるのは簡単ですが、私の指示ではほとんど進んでくれず、ずっと草を食べていました。

「道草を食う」の語源は乗馬から来ているそうです。

6,7,8月の新しいことは、また次回書かせていただきます:)
posted by はなちゃん at 18:57| Comment(0) | TrackBack(0) | 花沢事務所つれづれ日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年08月13日

「相続・遺言・未収金」

こんにちわ。
花沢事務所@横浜事務所の遠藤です。

以前、某葬儀社主催のセミナーにて花沢代表と遠藤で「相続・遺言・未収金」をテーマに講師をさせていただきました。

相続といえば、今年の1月から税率の変更があり皆さんが気になるテーマでもあると思います。

今年の1月からは基礎控除額の変更があり、その事もお話をさせていただきました。
「改正前」
・5,000万円+1,000万円×法定相続人の数
「改正後」
・3,000万円+600万円×法定相続人の数
この様な改正がありました。

花沢代表は「相続・遺言」をテーマで講演をして、参加していただいた方にはとても満足をしていただける内容となりました。

セミナー4.JPG

そのあとは私が未収金をテーマに講師をさせていただきました。

今回は葬儀関連業者の方々が多かったので、業界でよくある困りごとをピックアップしてお話をさせていただきました。

業界では、葬儀代金やお食事代等を立て替えて、すべての葬儀が終わった後に代金頂くのが一般的で、そうするとどのような事が起こるかというと、葬儀が終わった後に請求を出すと、支払いをしてくれない方が中には出てきてしまうようです。

なので、そのようなことが起こらないように、事前対策と発生してしまった場合の対応の仕方を簡単に説明をしました。

やはり、現在どのような業界でも未収金というのは少なからず困っているところが沢山あると痛感させていただきました。

セミナー1.JPG

もしこのような事があればいつでもお気軽にお問い合わせ頂ければすぐに対応したしますのでよろしくお願いいたします。

http://hanazawa-office.com/
posted by はなちゃん at 13:34| Comment(0) | TrackBack(0) | 遺産・財産 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする